グランプリ受賞者 × 委員長 特別対談

第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリを受賞した能作代表の能作克治さんと三井広報委員会・飯野委員長の対談をお届けします。
(2016年3月29日実施)

伝統産業のトップランナーとして受賞を励みに邁進

飯野
この度はグランプリ受賞おめでとうございます。まずは今のお気持ちをお聞かせください。
能作
ありがとうございます。伝統工芸の技術だけでなく取り組みを評価していただく希少な賞で、しかも第1回の受賞ということで、非常に嬉しく、意義深く感じています。伝統産業のトップランナーとして認めていただいたと受け止め、より一層邁進していかなければと身が引き締まる思いです。また、会社としての受賞ですので、バックヤードも含めた100人余の全従業員の励みとなります。
飯野
こそう言っていただけると、我々も賞を創設した甲斐があります。従業員のみなさんにとって、受賞がモチベーションアップの一因になれば幸いです。
能作
受賞が励みになるのはもちろんですが、職人たちは人前に出て、お客様と出会うことがものづくりに対するモチベーションを上げる一番の力になると思っています。能作の工場には多くの見学者が訪れていますので、ぜひ三井グループの皆さんもお越しください。

地域産業の魅力に気づき誇りが持てれば地方は創生する

飯野
三井ゴールデン匠賞は「伝統×イノベーション」で伝統工芸を発展させている匠を表彰する賞ですが、能作さんのイノベーションのゴールとはどのようなものでしょうか。
能作
地域を代表する会社となり、産業観光に注力して地方創生につなげていくことです。そのため建設中の新社屋は、産業観光を前面に打ち出しました。鋳物独特の熱や匂い、音を、職人と同じ目線で体感できる工場見学を実施する他、60人が一度に鋳物体験ができる工房や、能作の食器で食事ができるカフェなどがあります。また、富山県の観光案内を巨大なテーブルにプロジェクトマッピングで映し出し、当社から他の観光地へとつなぐハブ的な要素も取り入れています。
飯野
より「開かれた会社」となるのですね。子どもたちを対象にした見学会や、モノ作りの授業への協力なども実施されていて、子どもたちが地元を愛する心を育んでいるようにもお見受けしました。
能作
高岡市は、小学校5年~中学1年生を対象に、「ものづくり・デザイン科」という授業を実施しています。先日、就職の面接に来た子が「夢が叶った」と言うので、その理由を聞くと、小学生の時に授業で見学に訪れ、能作と鋳物が好きになり、研磨職人を目指したというのです。それを聞いたら、内定を出すしかありません(笑)。
飯野
お互いにとってこれほど嬉しいことはないですね(笑)。
能作
産業観光を推進する新社屋を一番見て欲しいのは、実は地元の高岡市民なのです。地域にこんなよい産業があるのだということを知っていただきたい。子どもたちも含め、自分たちが生まれ住む地域を誇りに思えたら、間違いなく地方は創生すると思います。
飯野
三井グループの歩み自体も、伝統とイノベーションの歴史そのものであり、基本理念において能作さんと相通じるところが多く、感銘を受けました。
能作
そう言っていただけると、とても光栄です。
飯野
能作さんのイノベーションの原動力は何でしょうか?
能作
やはり一番は仕事が好きで、楽しんでいるということでしょうか。楽しく仕事をしていると、さまざまな情報が集まってきます。情報が糧となり、次の新しいステップに進むことができると思うのです。

「競争」ではなく「共想」と「共創」で
イノベーションを起こす

飯野
海外向けには、どのような取り組みをされていますか?
能作
年程前から、欧米、中国、台湾などで事業を展開しています。また、工場を訪れる外国人が増え、英語や中国語でも説明ができるよう対応しています。この春にはイタリア人の女性が入社する予定で、外国人の目線からみた観光案内の作成にも取り組んでいきたいと考えています。
飯野
これから本賞を盛り上げていくためにも、三井グループへの期待など、お聞かせいただけますか。
能作
先ほど三井グループの方との立ち話で、錫を蒸着する技術があると聞き驚きました。私たちが今挑戦している医療器具の開発にぜひとも参考にさせていただきたい技術で、早速名刺を交換させていただきました(笑)。三井グループ企業の持っている技術はやはり素晴らしい。そういった情報がもっと私たちの身近に届くようになれば、伝統産業も含め新しいイノベーションが生まれるのではないかと思います。高岡では、我々は争う「競争」ではなく、想いを共にし、共に創る「共想」「共創」のものづくりをしています。三井グループとも「共想」「共創」ができるとよいですね。
飯野
「共想」「共創」とは、イノベーションのひとつのキーワードになり得ますね。三井グループとしても、これを機に伝統工芸の認知を高めるべく支援をしていきたいと考えています。今日はありがとうございました。