第2回「三井ゴールデン匠賞」ファイナリスト一覧(敬称略)
[東日本地区]

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

倉田 昌直

ブナコ株式会社

ブナコ/青森県

http://www.bunaco.co.jp
取り組み

ブナ材活用を目的に昭和30年頃に開発された青森県の伝統工芸品「ブナコ」は、今や環境に優しいエコな製法と海外からも脚光を浴びている。テーブルウェアから、付加価値を高めた照明器具生産に転換、インテリア小物やスピーカーなども加わり、「音と光の空間創造」商品として、BUNACOブランドを確立した。過疎化の進む西目屋村の廃校を工場にして、雇用の場を創出、産業観光の拠点として、観光客を誘致しつつ、夢は「和製バカラ村」。海外輸出を目指している。

作品紹介

【BUNACO LAMP】

ブナ材の透過光には気持ちを鎮静化する効果があるとされ、反射する柔らかな光が魅力となっている。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

中村 多一

小泉木工所

エレキギター製造/岩手県

取り組み

一般住宅建築、寺院造営、建具製作などで培った伝統的加工技術「蟻組」を、エレキギターのネックジョイントに応用し、その音色とあいまって世界初の手法として注目されている。ギターの製造は女川のセッショナブル社が手掛けるが、ネックジョイントは製造のコア部分なため、製造担当の従業員は中村氏のもとで木工加工を勉強することが採用条件とされる。

作品紹介

【エレキギター/Questrel】

ネック部分がイタヤカエデ、ボディーがハンの木の国産材、技術も国産と正真正銘のMade in Japan商品。気仙大工の技術継承も含め、国産材の利用促進、林業・木材加工業の振興にもつながると期待されている。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

有限会社
長谷部漆工

代表:長谷部 嘉勝

※団体として応募

仙台箪笥/宮城県

http://hasebe-sikkou.jp/
取り組み

仙台箪笥は分業制(指物・漆塗り・錺金具)の産地であり、長谷部漆工は漆塗り部門を担当するが、工房内に各部門の職人を配置して、一貫生産ができる体制を整えた。高齢化が進む中、各工程とも単一技能だけでなく、複数の技法を修得するよう職人の技術継承の環境作りをしている。手作業のみの従来の工程を見直し、省力化・機械化によりコスト削減をはかり、高級品だけでなく、普及品も生産可能な生産活動に移行している。

作品紹介

【仙台箪笥スピーカー】

伝統技法を守り作り上げた木地呂漆手塗り漆焼付手打ち錺金具仕様の高級品。漆をスプレーガンで塗装し、磨きあげた木地呂漆吹付塗手打銀塗装錺金具仕様品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

ガッチ株式会社、
一般社団法人 WAZAtoBA、
大堀相馬焼松永窯

代表:松永 武士

※団体として応募

大堀相馬焼/福島県

http://soma-yaki.com/
取り組み

大堀相馬焼を主とした伝統的工芸品のプロデュースと販路開拓を推進した。東日本大震災の原発事故により移転を余儀なくされた大堀相馬焼は、地産地消の産地であったため、営業機能をもつ窯元はなく、インターネットやSNSによる販売に頼らざるをえなくなった。松永窯の松永氏は、海外でベンチャービジネスをしていた経験を駆使して、問屋機能を担い、需要開拓や商品開発、情報発信活動を続けている。

作品紹介

【クロテラス】

雄勝硯研磨で生ずる粉末を釉薬にした大堀相馬焼のテーブルウェア。

【IKKON】

大堀相馬焼の代表的な技法「二重構造」を活かして、日本酒をより美味しく味わう酒器を製作。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社
鈴木茂兵衛商店

代表:鈴木 隆太郎

※団体として応募

水府提灯/茨城県

http://www.suzumo.com
取り組み

水戸藩以来、150年にわたって継承されてきた水府提灯の老舗。質実剛健を旨とし、手作業で作るほかなかった金型や木型を、 CADやレーザーカットを導入して、大幅にコストダウンし量産体制を整えた。デザイナーとのコラボレーションやLED電装の開発により、看板、奉納、盆提灯という従来の用途にはない新商品を産み出して、人気を博している。

作品紹介

【瓶型シリーズ】

新しい量産体制のもとでの第一弾のオリジナル製品。

【MICシリーズ】

ゆらぎLED、音感センサーなどを最大限に生かして開発した個人顧客向けの照明器具。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

桐山 登士樹

株式会社TRUNK
富山県美術館
富山県総合デザインセンター

デザインディレクター/東京都

取り組み

伝統的工芸品の世界展開を視野に、日本の文化、モノづくりの背景、材料、技法を含めて、世界発信するための展示会、ポップアップショップ、展覧会などをおこなっている。富山県において、デザイナー投入による今日的な生活様式にあったモノづくりを推進、商品化を前提として「とやまデザインコンペティション」を企画し、24年間実施、JETROの広報ブースプロデュース、伝産協会のフォーラム事業の展開など、伝統工芸やデザインの発信を多面的に展開している。

作品紹介

【KANAYA】

高岡銅器協同組合と立ち上げたブランド。既存の伝統工芸、デザイナー、異素材の三者間で化学反応を起こすスキームを作り、商品開発を行ってきた。

【伝産協会海外展開プロデュース】

アンビエンテ・メゾンエオブジェ・ミラノデザインウイーク

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社
グレイワールドワイド、
目白漆學舎、
高野硝子工芸、
有限会社 浜松屋、
京竹籠花こころ

代表:高井 学

※団体として応募

クリエイティブ/東京都

http://grey.co.jp/
取り組み

企画会社グレイワールドのクリエイティブ部署が作品をプロデュース。タカラトミーのプラレールと伝統工芸産地の意欲的な若手作家とのコラボレーションにより、おもちゃとして大量生産されるプラレールを芸術性の高いアートに昇華させ、若い世代に伝統工芸の素晴らしさを伝える一助になった。

作品紹介

【伝統工芸×プラレール】

漆芸:朝顔を蒔絵で表現(室瀬祐とコラボ) 江戸切子:ブルートレインを麻の葉、籠目紋様で表現(高野秀徳とコラボ) 京竹工芸:打上げ花火のイメージ(小倉智恵美とコラボ) 箱根寄木細工:花火の色彩をカラフルな寄木の柄で表現(石川裕貴とコラボ)

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社
高橋工房

代表:高橋 由貴子

※団体として応募

江戸木版画/東京都

http://takahashi-kobo.com/
取り組み

代々、継承された摺師としての技術と、作品を総合的にプロデュースする版元ならではの幅広い知識と感性をもって、浮世絵の復刻事業から、現代アート作品まで意欲的に制作、江戸木版画のグローバル展開を牽引している。

作品紹介

【絵巻物】

江戸木版画の独自な文化、精緻な技術、今後の方向性を内外に発信するために、総力を挙げて取り組んだ童話3篇からなる絵巻物。

【格子写楽】

写楽の躍動感溢れる役者絵の背景に漆黒の横縞を大胆に配置することでモダンな意匠にリデザイン。デザインは浅葉克己氏による。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社 BCA

代表:澁川 直子

※団体として応募

水引/東京都

http://b-c-a.jp
取り組み

水引の伝統的な結びが持つ造形美と、本来の意味、用途、素材の特性などを研究しながら、現代のライフスタイルに取り入れやすい形でのプロデュースを行っている。芸術的要素に加えて、実用的な視点から商品化を企画。「おくる(贈答シーン)、もてなす(箸置き、ナプキンリングなど食卓小物)、しつらえる(オブジェ、モビールなどインテリア)、よそおう(アクセサリー)」という4つのコンセプトで水引のある暮らしを提案、内外に発信している。

作品紹介

【水引テーブルウエア】

シーンに合わせた水引商品の選定、制作、制作指導、現場でのコーディネイトを行う業務の一例。コースター、ナプキンリング、卓上花などで季節感とおもてなしの気持ちを表現し、水引の多様な使い方を提案している。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

廣田 達夫

廣田硝子株式会社

江戸切子/東京都

http://www.hirota-glass.co.jp
http://www.edokiriko.net
取り組み

日本独自の技法とされる手吹きガラス「乳白あぶり出し硝子」の技術継承を担うべく、職人と一体になって復刻・完成させた。 また、江戸切子の可能性を拡げるべくインテリア部門に江戸切子パネルを新たに開発した。さらに蓋ちょこ・文鎮・万華鏡などの江戸切子もある。海外展開も熱心に取り組んでいる。

作品紹介

【江戸切子パネル】

タンブラーと同様に成形し、切り開いて熱して板状にし、切子紋様を施したもの。食器以外の新市場を開拓している。

【乳白あぶり出し硝子/大正浪漫硝子】

原料開発、職人の手配、溶解設備の設計、技の伝承などの課題を乗り越えて復刻された和ガラスの逸品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社
堀口切子

代表:堀口 徹

※団体として応募

江戸切子/東京都

http://www.kiriko.biz
取り組み

江戸切子の工房。最新鋭の機器を導入し、作業効率を上げ、若手を即戦力として起用。切子の意匠を異素材へ転用するなど新しいもの作りにも果敢に挑戦している。また切子をガラスの中に閉じ込める新技法「とじこめシリーズ」を開発した。

作品紹介

【そば猪口 よろけ縞】

使い勝手のよいそば猪口によろけ縞を配し、従来の幾何学模様にはないゆらぎを表現。

【アサヒ六条麦茶 ペットボトルデザイン】

伝統的な江戸切子文様の「麻の葉文」「八角籠目文」「魚子文」「菊籠目文」の4種のボトルデザインを監修。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

松崎 光正

株式会社 松崎人形

江戸木目込人形/東京都

http://www.koikko.com/
取り組み

人形作家であり、江戸節句人形、江戸木目込人形の伝統工芸士。デザイナーとのコラボレーションで、アロマデフューザーとしての用途を加味し、時代劇に題材を求めたアロマ屋文左衛門シリーズなど、新鮮な切り口で商品展開を行っている。実利的な要素はないものの、人の心に寄り添い、癒し、励まし、力となり、慰めるという人形の役割を捉え直して存在価値を創出し、若い工人につなげたい。

作品紹介

【ことわざさむらい】

「石の上にも三年」、「笑う門には福が来る」など様々な諺を人形でユーモラスに表現、自分への応援歌、身近な人への励ましなど心に寄り添うようにと、シリーズ化した商品。