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第3回「三井ゴールデン匠賞」受賞者一覧(敬称略)

第3回三井ゴールデン匠賞 グランプリ

秋山 眞和

綾の手紬染織工房

宮崎手紬(綾の手紬)/宮崎県綾町

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第3回三井ゴールデン匠賞 モストポピュラー賞

タヤマスタジオ株式会社

代表:田山 貴紘※団体として受賞

南部鉄器/岩手県盛岡市

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第3回三井ゴールデン匠賞

株式会社大直

代表:一瀬 美教 ※団体として応募

市川和紙/山梨県市川三郷町

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第3回三井ゴールデン匠賞

株式会社堤淺吉漆店

代表:堤 卓也 ※団体として応募

漆精製・販売/京都府京都市

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第3回三井ゴールデン匠賞

水落 良市

三条製作所

越後三条打刃物/新潟県三条市

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第3回三井ゴールデン匠賞 グランプリ

秋山 眞和綾の手紬染織工房宮崎手紬(綾の手紬)/宮崎県綾町

応募タイトル

原種養蚕から一貫した手仕事による染織物を製作

http://www.ayasilk.com/

1941年那覇市生まれ。戦争での疎開後、宮崎で琉球織物の復興に携わる。
1966年綾の手紬染織工房を創設。原種小石丸の養蚕から藍染めや貝紫染め等の天然染色、琉球由来の絣や花織を用いた織物づくりを一貫して手仕事で行う。
国の「現代の名工」に指定された技術・哲学を後世に伝えるべく後継者育成にも取り組む。黄綬褒章受章。

作家画像
作品
受賞者
コメント
この度は、このような素晴らしい機会に表彰していただき、本当にありがとうございます。グランプリと聞いて、大変驚きました。
宮崎県の綾町は、もともと織物の伝統が無い町でしたが、そこでイチから試行錯誤したのが、結果的に良かったのではないかと思っています。
ものづくりには伝統が必要ですが、そのためには作り手が次代へ繋いでいく必要があります。三井ゴールデン匠賞は、そのような取り組み自体に関心を持ってもらえる契機となるもので、そんな機会を作っていただいたことを大変嬉しく思います。
また伝統を繋ぐ上では、昔のものを直接引き継ぐのではなく、その時代に生きる人々の生活に役立つものを作ることが大事だと考えています。その意味で、天然の染めには、奥行きのある色の美しさだけでなく、人々の健康にも役立つ面など、まだ大きな可能性があると思っています。これからも、そういった将来的な希望につながるものづくりに邁進できればと思います。
講評
「幻の色」とされていた貝紫による古代からの染色方法を解明、日本産巻貝を用いて還元建て染めに成功。さらには、貝紫の発色にふさわしい絹糸を求め、材料となる「小石丸」の養蚕から手がける秋山氏。困難を乗り越え理想とする原材料を生み出し、工芸らしいプロセスを積み重ねて織り上げられた風合いは独特の魅力にあふれ、海外へも価値が伝わるものである。また、宮崎県綾町というもともと織物産地ではない場所で産業化への道を拓いた実績も「未来へのタネをまいたといえる」と、30年以上に亘る熱意と姿勢が高く評価された。
取り組み
「古代の天然染色をすべて復元したい」と、藍染めと貝紫染めに取り組む。藍染めは、森林資源が豊富な宮崎県綾町のシイやカシなどから抽出した良質な灰汁を用い、発酵建てによる天然藍染め技術を確立。最後まで残った貝紫染めにおいては、古代の染色伝統が残る南米カリブ海近辺の産地を訪ね研鑽を深め、藍染めの技法を応用することで、日本産巻貝による世界初の貝紫の還元建て染めに成功。また、これらの天然染料の美しさを表現するために最も適した絹糸を追い求め、日本原産種の蚕「小石丸」に着目。高品質でありながら研究機関でないと養蚕ができなかった「小石丸」だが、当時の法規制を乗り越えて養蚕に着手。30年以上に渡り継続する。
作品紹介

小石丸貝紫染こいしまるかいむらさきそめ手織りストール やまとうた

日本原産種の蚕「小石丸」からとった座繰り糸を、膨大な数の巻貝から抽出した貝紫の染料を還元建て染めの技法を用いて染め、これを経緯両方に用いて織り上げた秋山眞和氏の取り組みの結実であるストール。

第3回三井ゴールデン匠賞 モストポピュラー賞

タヤマスタジオ株式会社代表:田山貴紘※団体として応募南部鉄器/岩手県盛岡市

応募タイトル

修業の在りかたをアップデート。人材育成と伝統の継承

http://kanakeno.com/

2013年設立。国内外への南部鉄瓶の販売、南部鉄瓶のアップデートに取り組む。2017年、丁寧を育む鉄瓶ブランド「kanakeno」をリリース。同ブランドでは市民と学ぶ講座「てつびんの学校」、新しい鉄瓶ショールーム「engawa」、持続可能な若手職人育成の仕組み「あかいりんごプロジェクト」などを実施。

作家画像
作品
受賞者
コメント
この度は、素晴らしい賞に選んでいただき誠にありがとうございます。この度の取り組みは、伝統工芸を次代に繋ぐために、多様な世代の職人から、業界外の企画者まで、あらゆる方々との協力によって実現しました。それを評価いただき、また一般の方々からの支持もいただけたということで、社会から受け入れられつつあると感じられ、大変嬉しく思っています。
作品ではなく、取り組みを評価する三井ゴールデン匠賞の存在は、伝統工芸に携わる方々にとって大きな励みになると思います。それは結果的に、伝統文化の価値を高めることにも繋がりますし、その輪が広がって、全国に「日本は個性に溢れた面白い国だ」という自負が育っていけば、誇りを持って世界にチャレンジしていけるようになると思います。
また、我々が手掛ける南部鉄器の他にも、日本には様々な価値を持つ伝統工芸があると思います。今回評価された取り組みの要素や考え方を、他の産地とも協同して広めつつ、これからの自分たちのものづくりの指針としていければと思います。
MP賞
投票者
コメント

若い職人の育成のために作業工程を調整し、デザイン性も見直した商品づくりという点に感銘を受けました。伝統の継承とデザイン性の2つの利点が叶えられている商品と知り、非常に好感を持ちました。

”黒色”を思い浮かべる南部鉄器が、赤色という”期待”を裏切る色が印象的。”りんご”というネーミングも斬新で親しみが持てる。デザイン性が高く、生活空間や道具に拘りを持つ消費者に選ばれると期待される製品だと思う。

講評
南部鉄器の伝統工芸士である父・田山和康氏(田山鐵瓶工房 代表)を顧問にその技術を受け継ぎながら、職人の就労環境の整備、多様なメンバーの組織編成など人材育成面での取り組みが高く評価された。特に、技術を習得するには10年はかかるといわれる南部鉄器の製造において、若手職人でも全工程にかかわれるよう加飾面での工程を減らした鉄瓶「あかいりんご」の企画は、安価な代替品と競うための工程短縮とは違い、量産材料の使用、機械化に頼らざるを得なかった状況を大きく変え、従来の伝統工芸品と機能的に劣らない品を仕組みの工夫により提供可能にし「今後の展開が期待される」と好評だった。
取り組み
2013年(平成25年)に「タヤマスタジオ」創立。2017年(平成29年)に“日本人にこそ、この美しさを知ってほしい”と南部鉄器の国内向けブランド「kanakeno」を発表。一人前になるには100以上の工程を習得、10年はかかるといわれる南部鉄器の職人だが、希望者が減り修業できる時間が限られている現代で、「ひとつひとつの工程を極めてからではなく、全体を把握しなぜその工程が必要かの理解を深めながら作るほうがこれからの世代にあっている」と従来の方針から転換。若手職人が全工程にかかわれる鉄瓶「あかいりんご」を企画した。IH使用可、ツルが折り畳めて収納場所をとらないなど現代のライフスタイルに沿う工夫が光る。
作品紹介

【あかいりんご】

国内向けに企画した「kanakeno」シリーズ。模様付けなど難易度の高い技術を必要としないデザインを採用。ツルが可動式のため収納場所を選ばず、従来の製品に比べ軽い。販路を独自に開拓し若年層にも鉄瓶をPRした。

株式会社 大直代表:一瀬 美教※団体として応募市川和紙/山梨県市川三郷町

応募タイトル

伝統的障子紙産地で技術と文化を生かした商品を開発

http://www.onao.co.jp

平安時代から千年続く和紙産地山梨県市川三郷で代々和紙業に携わり1974年(株)大直と法人化。社名の「おおなお」は書院紙の最高級品「大直紙」に由来。地場産品の障子紙事業、和紙工芸品「めでたや」事業、デザイナー深澤直人氏との共同開発和紙製品「SIWA」事業等を行う。2017年「はばたけ中小企業・小規模事業者300社」選定。

作家画像
作品
受賞者
コメント
この度は受賞の機会をいただき、誠にありがとうございます。関係者一同、非常に喜ばしく感じています。
伝統工芸は今、技術や流通、生活の変化など、いろいろな意味で大きな変革期を迎えています。このようなかで、何を表現したいか、何を考えて作っているか、それをきちんと形にする、そして多くの人の生活の中で役に立っていくことが大事だと思っており、それは私たちが常に追い続けているテーマでもあります。
今回評価いただいたことは、大きな自信につながりました。今後一層、こだわりのあるものづくりに取り組んでまいります。
講評
「紙という伝統工芸の英知を残しながら、魅力的なプロダクトとして進化している」と、好評を得た大直。生産量が最盛期の3分の1にまで減少していた市川和紙を復興すべく、破れにくい障子紙「ナオロン」を開発。さらには、ナオロンをくしゃくしゃにすることで風合いを出し、工業デザイナー・深澤直人氏と和紙製品「SIWA」を共同開発。日用品として展開し高い完成度でブランドを確立した。当事業を担当する従業員を新たに確保するなど、地域雇用にも貢献。商品開発、デザインノウハウを社内で蓄積、社外デザイナーとの連携、海外展示会出展等の海外事業のノウハウも蓄積し、持続的に事業継続をするために務める。一方で、伝統的なものづくりを継承するクラフトブランド「めでたや」とのバランスのよさも注目された。
取り組み
1000年もの歴史を有する市川和紙、主に障子紙の産地。生産量が最盛期の3分の1に落ち込むなか、産地の産業を持続させるために和紙文化、和紙技術を活かした新たな生産品に取り組む。日本の行事・歳時記をテーマにクラフト商品「めでたや」を開発。デザインは社内スタッフ、制作は地域の女性による手仕事内職と雇用に一役買っている。工業デザイナー・深澤直人氏と、伝統と革新をコンセプトとした和紙製品「SIWA」を共同開発。大直が開発していた破れない和紙「ナオロン」をくしゃくしゃにすることで独特の風合いが出ることを見いだし、染色・縫製加工など新たな技術を開発したことで、和紙の斬新な魅力を引き出すことに成功した。
作品紹介

【SIWA|紙和】【めでたや 額飾り 十二支】

クラフト商品「めでたや」の十二支額。破れない和紙「ナオロン」にしわを施し風合いを持たせた「SIWA」。縫製が可能で、バッグ、スリッパ、帽子、ポーチ、名刺ケースなどさまざまな日用品に展開、国内外で人気となった。

株式会社 堤淺吉漆店つつみあさきちうるしてん代表:堤 卓也※団体として応募漆精製・販売/京都府京都市

応募タイトル

漆と漆の文化を次世代に残す、漆原材料屋の挑戦

http://www.kourin-urushi.com/

1909年(明治42年)創業。漆を精製・販売する素材屋。伝統的な精製方法の他、より耐候性に優れた高分散漆「光琳」を研究開発。国宝・重要文化財修復をはじめ、漆芸分野にて幅広く使用されている。2016年からは漆を次世代に繋ぐプロジェクト「うるしのいっぽ」を開始。「漆×SURF」「漆×SKATE」「漆×BMX」等、漆の新たな価値観も提案する。

作家画像
作品
受賞者
コメント
この度は誠にありがとうございます。過去の体験から、漆や伝統工芸のことを必要とする人にきちんと届けられれば、世の役に立てるという想いを持っていた中で、こうした賞をいただき、広く知られるきっかけができたことをうれしく思っています。
また、材料屋としての、私たちの取り組みを評価していただいたことも、大変ありがたく思います。これからも、漆の可能性を探求し、何ができるかという意識を常に持ち続けることで、ものづくりの多様性に少しでも応えられる漆づくりに努めていきたいと思います。
講評
漆の原材料店として、国内外の漆の特徴を見極めニーズにあわせて精製・調合する技術の高さは業界で欠かせない存在、と高く評価された。1999(平成11)年には、紫外線や雨風に強い高分散精製漆「光琳」を開発。日光東照宮・平成の大修理など重要文化財建造物の修復に採用される。一方で、若い世代が中心となり、2016(平成28)年からは漆を次世代へとつなぐプロジェクト「うるしのいっぽ」を開始。東京オリンピック種目にも選ばれたサーフィン、BMX(自転車)、スケートボードなどスポーツ用具分野の漆塗装の可能性、環境への配慮、サスティナビリティの高さを提案。まさに、新しい工芸の姿といえる。
取り組み
1909(明治42)年創業の漆の原材料店。漆の精製、調合、販売まで一貫して行う。樹齢10〜15年のウルシの木から採れる量はわずか200gという希少性に加え、漆を採取する職人の高齢化、塗師や道具の職人の減少という危機的状況にある業界において、さまざまなプロジェクトに取り組む。高分散精製漆「光琳」の開発では、漆の粒子を細かく分散させ、塗膜を緻密・堅牢にすることで、紫外線や雨風への耐候性をアップ。従来品よりも初期劣化を格段に遅らせることに成功。2007(平成19)年からの日光東照宮・平成の大修理において「光琳」が全面採用され、国宝・重要文化財建造物の修復において重宝されている。漆の裾野を広げるためサーフィン、BMX、スケートボードの漆塗りモデルや映像の制作にも取り組む。
作品紹介

《URUSHI x SKATE》

東京五輪新種目で若者に人気のあるスケートボードに漆塗り・蒔絵を施したスペシャルモデル。普段乗っているボードにも漆を塗り、経年変化による漆特有の透け感や傷など、使い込む事で生まれる風合いやオリジナリティも漆の魅力として提案している。(光琳使用)

水落 良市三条製作所越後三条打刃物/新潟県三条市

応募タイトル

過去から現在、そして未来へと受け継ぐ和剃刀

http://kajidojo.com/meister/sanjoseisakusyo/

1942年 新潟県三条市出身。

1961年 三条製作所入社。

2014年 伝統工芸士の認定を受ける。

2018年 ジャパンハウス・ロンドンで開催された「燕三条 工場の祭典」の世界観を基軸とした企画展では和剃刀が展示され、他の職人とともに出演した刃物職人トークでは150人を超える参加者があり注目を集めた。

作家画像
作品
受賞者
コメント
この度は、このような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。大変光栄なことでございます。
日本剃刀は、感覚的・科学的なアプローチで連綿とその製造技術が受け継がれてきた刃物です。昨今は海外からの注文が過半数を占めており、ありがたいことに非常に幅広い方々から支持されていると感じております。一方、日本剃刀は扱いに繊細な面もあることから、使っていただける方が減ってきているのも事実です。貴重な技術ですので、この後も若手の方に引き継いでいただいて、日本剃刀というものがあるということを世の中に知ってもらい、絶やさないでもらえればありがたいなと思っております。
講評
古くから金物の産地として知られる三条でも高い技術を持ち、老若多くの職人にとって「精神的支柱」といわれる水落良市氏。「世界の鍛治職人イワサキ」と呼ばれた岩崎重義氏のもとで修行を積む。和剃刀を専門で製造できる職人は全国でも類を見ず「つけ替え刃が主流となったなかで和剃刀の需要は小さいかもしれないが、間違いなく鍛冶の真髄のひとつ」と、高評価を得た。若手鍛冶職人志望者の受け入れも熱心に行っ ている。
取り組み
鍛冶職人の技術継承は口伝や仕事を見て学ぶような感覚や勘に頼ったものがほとんどだった時代に、金属顕微鏡を持込み、冶金学を学んで日本刀の製法を刃物づくりに応用しようと科学的な視点を取り入れた岩崎航介氏。三条鍛冶集団の重鎮であり父の意思を受け継いだ岩崎重義氏。水落氏はその岩崎父子の弟子として、主に和剃刀と切出小刀を手掛ける。和剃刀を専門で製造できる職人は全国でも類を見ず、1日1本程度しかできないため、注文は3年待ち。2014(平成26)年に伝統工芸士の認定を受ける。所属している越後三条鍛冶集団では、三条市からの事業受託により、将来独立した鍛冶職人へと育てるために若手鍛冶職人志望者を受け入れており、2019(令和元)年度から研修先として三条製作所で受け入れ、技術を指導している。
作品紹介

【和剃刀(日本剃刀)】

世界一の刃物といわれる日本刀の素材「玉鋼」を使用。材料を適当な長さに切断するところから仕上げの研ぎまでの全工程を一貫して行い、研ぎすまされた刃は髪の毛に軽くあてるだけですっと落ちるほどの切れ味。