FM京都「Artisan’s Talk」で、三井ゴールデン匠賞特別番組が放送されました。

三井ゴールデン匠賞の審査員のお一人である矢島里佳さんがDJを務めるFM京都「Artisan’s Talk」。毎週金曜日の朝6:00からさまざまな職人や経済界の方をゲストに迎えて放送されています。
この度、第1回三井ゴールデン匠賞を受賞された福島武山氏(九谷焼赤絵細描)を特別ゲストにお迎えして、三井広報委員会から吉田昌司(三井住友建設)も加わり、「三井ゴールデン匠賞特別編」が放送されました。
その一部をWEB上でご紹介します。

  • 福島武山氏の作品
矢島
本日は作品をお持ちいただきました。九谷焼の赤絵細描は朱色の本当に細かい線で絵付けしていく技術なのですが、福島さんには師匠がいらっしゃらなかったのですよね?
福島
はい、今思うと師匠がいないことで自分なりの道を切り開いてこられたのでよかったと思っています。例えば、私が赤絵細描をやり始めた頃は、白磁の器の白が見えなくなるくらい、朱色の線で埋めないと高く売れない風潮があったのですが、それだと自分が新しい九谷を開いていこうという気持ちと相反するわけですね。白があって赤が引き立つ、赤があって白が引き立つということを追及したいと思っていました。
矢島
伝統から学びつつ、その時々の福島さんの感性を和え、常に新しい九谷焼の世界を切り開いてこられたことが受賞につながったと思います。福島さんは本当に多くのお弟子さんを育ててこられていて、それも審査会では随分話題になったのを覚えています。
吉田
三井ゴールデン匠賞が伝統工芸の他の賞と大きく違うのは、作品ではなく人を表彰するということで、そういう意味でもお弟子さんの件も話題になりました。
  • 収録風景
矢島
もう一つ世界に日本の伝統が羽ばたいていく可能性という点で、福島さんはお仕事をグローバルになされています。
福島
たまたま幸運に恵まれました。平成24年の伝統工芸品の全国大会は石川県で開催されたのですが、その時に、エルメスのディレクターや職人の方々をお招きし、石川県の伝統工芸を見てもらう企画がありました。その見学ルートの中に私の工房が選ばれ、時計部門のディレクターがお昼を食べるのも忘れてとにかく一生懸命作業をご覧になっていました(笑)
矢島
それがきっかけでエルメスの時計の文字盤を福島さんが絵付けされることになったのですね。ところで、三井ゴールデン匠賞受賞後は何か変化がありましたか?
福島
いろいろあったのですが、大きなところで言えば、平成28年度の石川県文化功労賞を受賞しました。
吉田矢島

おめでとうございます!

福島

なかなか頂けない賞なのですごく嬉しかったですね。全日空の機内誌でも8ページに渡って取り上げていただけました。
自分で自分を見限ることなく是非三井ゴールデン匠賞に応募されることをお勧めいたします。一つ壁を越えると何が起きるかわかりませんから。

矢島
これから更にこんな挑戦をしていきたということをお聞かせいただけますか。
福島
そうですね、ちょっとこの辺りで一度立ち止まって、どうしたらすっきりしたいいモノができるかということを、時間をかけてやりたいと思っています。要はいいものを残したいということなのですが、そのいいものは何なのかということを探りたいです。色々なものをたくさん見て、人の話しを聞きながら、また原点に戻るような感じで努力したいと思います。
矢島

それでは最後に、三井ゴールデン匠賞の主催者として、どのような方にご応募いただきたいかお話いただけますか。

吉田
基本的に経験年数については参考にさせていただく程度ですので、年齢や経験年数は問いません。伝統工芸の世界で革新的なことに取り組んでおられる方は是非ご応募ください。
矢島
本日はありがとうございました。