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第2回「三井ゴールデン匠賞」受賞者一覧(敬称略)

第2回三井ゴールデン匠賞

グランプリ

桐本 泰一

輪島キリモト

輪島塗/石川県輪島市

講評

江戸後期から続く漆器業の7代目。分業主流の輪島塗産地で、先駆けて木地、漆塗りの一貫生産を実現し、消費者ニーズへの対応に努め、長年にわたって産地の改革と活性化に取り組んだ実績が評価された。現代の様々な生活シーンに馴染む漆器や家具、建築内装材を国内外へ幅広く提案している。さらに、産地内の若手、中堅、漆芸研究所生徒等30数名を集めた「輪島クリエイティブデザイン塾」などの事業を推進し、後継者育成にも尽力している。

プロフィール

1962年、輪島市出身。
1985年筑波大学芸術専門学群生産デザインコース卒。
コクヨ(株)を経て1987年桐本木工所入社。
2015年家督を引継ぎ商号を輪島キリモトとして代表に就任。
暮らしの中で使うための漆の器、小物、家具、建築内素材等を創作。
大学、中高校ではモノを創作する立場からの講義等を行う。
http://www.kirimoto.net

取り組み

工業デザインを学び、オフィス設計に従事した経験を活かし、木地業からの漆器造形を提案。産地内で初めて木地、漆塗り一貫生産を手がけ、使い手の心に響く製品の開発に努めている。
今の暮らしでも使いやすい漆塗り技法を研究、輪島地の粉による下地塗り、中塗りの後、従来の上塗りに替って、再度地の粉と漆を掛け合わせて塗り込む「makiji(蒔地)」技法を考案。表面硬度を金属製のフォーク・ナイフを使えるように強靭にして、洋食分野への進出を可能にした。
輪島塗再生プロジェクトのメンバーとして、漆の木を「植える」、輪島の漆掻き後継者が採取した漆を「つくる」、さらに輪島漆で製品をつくり「使う」事業を推進。産地内の縦軸、横軸の交流による活性化を目指している。

作品紹介

【蒔地・千すじ 小福皿】

和洋兼用の皿。天然木の木地に布着せ補強して、珪藻土を焼成粉末にした「輪島地の粉」を活かした下地を塗り込み、何度も漆を塗り重ねた表面は硬度が高く、金属のカトラリーも使える人気シリーズ。

受賞者コメント

木地屋から一貫生産を始めて、様々な苦労もありましたが、この賞をいただき感動しています。
この受賞は、ひとえに職人、スタッフ、家族のおかげです。この仕事が大好きで、ナンバーワンを目指すのではなく、世界のオンリーワンを目指す気持ちでやってきました。
これからも輪島の素材を活かしたモノづくりを続け、このあと何百年も続き、発展していくように精進していきたいと思います。

第2回三井ゴールデン匠賞

モストポピュラー賞

株式会社 玉川堂

代表 玉川 基行

※団体として受賞

燕鎚起銅器/新潟県燕市

講評

燕鎚起(ついき)銅器を200年に渡って受け継ぐ老舗の後継者として、海外ブランドとのコラボレーションや異業種との新製品開発などに尽力。自分たちで作った製品を自らの手で丁寧に販売するという信念を軸とした、百貨店との直接取引や直営店舗設立といった流通機構改革への実績が評価された。また、終業後は工場を職人に開放し、若手の技術訓練やベテランの作品創作にチャレンジする場として提供するなど、若手育成や技術力向上の環境を整え、世界最高峰を自負する技術・技能継承へのきめ細かな就業体制を作っている。

プロフィール

1970年、新潟県燕市出身。
2003年に代表取締役七代目に就任。
玉川堂は1816年の創業以来、200年に渉る伝統工芸・鎚起銅器の技術を継承する老舗。
一枚の銅板を打ち縮めながら器状に成形する「鎚起銅器」は、新潟県より「新潟県無形文化財」に指定され、本店建物は国の「登録有形文化財(建造物)」に登録されている。
http://www.gyokusendo.com

取り組み

鎚起銅器の老舗として、大胆に新規事業に挑戦。ルイヴィトングループのシャンパンブランド「KRUG」とのコラボレーション事業によるシャンパンクーラーは世界中のレストランとバーで使用されている他、自動車メーカーなど異業種とのデザイン開発も展開。世界最高峰を自負する技術の更なる向上のため、若手やベテランがさらに高度な作品に挑戦できる場を提供している。
従来の問屋を介した商品の流れを見直す流通改革を行い、作り手自らによる対面販売を軸とし、直営店を設立した。後継者不足の伝統工芸業界の中で多数の入社希望者があり、女性職人も増加。常時受け入れている工場見学では、職人自らが行う説明を聞きに、多くの人がこの地を訪れる。地場産業の旗手としても頼もしい推進役である。

作品紹介

【鎚起和器MOON】

銅とステンレスを組み合わせ、ステンレス鋳造、磨き研磨技術など、燕三条6社の技術が終結し、普段交わることのない、玉川堂の工芸技術と燕三条の工芸技術が融合したアートピース。

【Coffee collection】

鎚起成形の絶妙な注ぎ口、直火にかけられるポットはコーヒー好きの垂涎のまと。使い込み、育てる楽しみは工芸品ならでは。

受賞者コメント

伝統工芸に興味を持っていただいている多くの方々にご支持頂くことができ、大変嬉しく思っております。
伝統は革新の連続であると考えています。
玉川堂はかつて記念品の製造中心でしたが、今は、直営店を持つことで、お客さまと職人が直接会話することができるようになり、どのような商品が求められているのかを学びました。
今後は海外にも直営店を出したいと考えていますが、最終的には、海外の人たちに、燕三条へ来てもらえるようになることが私の目標です。

第2回三井ゴールデン匠賞

齋藤 宏之

株式会社 五十崎社中

大洲和紙/愛媛県内子町

講評

昔ながらの書道用半紙や障子紙が主流であった大洲和紙産地において、壁紙やタペストリーといったインテリア素材への進出を図り、新たな和紙のある生活を創出した。フランス伝統の金属箔技法ギルディングを取り入れた世界にオンリーワンの和紙や、地元商工会とともに開発したこより和紙など、デザイン性の高い和紙を次々に発表。新たな和紙需要の拡大に努めながら大洲和紙産業の活性化に大きく貢献していることが評価された。

プロフィール

1972年、神奈川県出身。
大洲和紙商品製造販売。
フランスの金箔技法ギルディングをガボー・ウルヴィツキ氏より習得。
内閣府クールジャパン官民連携プラットフォーム推進委員に選定。
2015年ミラノ国際博覧会クールジャパンデザインギャラリ―出展。
2017年ヨウジヤマモト・パリ店舗にて 和紙インスタレーション
http://www.ikazaki.jp

取り組み

手漉き和紙産業振興のため、新しい和紙商品製造販売を行う五十崎社中を起業。
フランス伝統の金属箔ギルディングを習得し、手漉き和紙と融合させたギルディング和紙を開発した他、タペストリーやガラスに挟み込んで自動ドアなどへの利用が可能なこより和紙を地元商工会と共同開発。
書道用半紙や障子紙で知られる大洲和紙産地においてインテリア素材への進出を図り、新たな和紙需要拡大へと繋げた。
ギルディング和紙は張替えが容易な施行性に加え、ガラスや樹脂加工を施して耐水性、耐久性を付加し、海外市場や規制の厳しい公共施設など国内外に販路を広げている。
高付加価値、デザイン性の高い伝統工芸品を多く産することで和紙産業及び内子町内の産業を盛り上げることを目標としている。

作品紹介

【ギルディング和紙壁紙】

和紙のもつ繊細で柔らかい素材と金属箔の硬質な質感、相反する素材が融合する逸品。デザインの柄は主に地元に伝わる日本伝統の型紙を現代風にアレンジした。手漉き和紙にギルディング装飾する技法は世界でもオンリーワンの技法。

【こより和紙】

こよった和紙の糸をフレームに編み込み、漉いた紙。内と外を柔らかく遮る半透明なスクリーンは、外光から浮かびあがるシルエットが特徴。

受賞者コメント

このような貴重な賞をいただき、誠にありがとうございます。
私は大洲和紙を現代の生活様式に取り入れ 、和紙のある生活を国内外に広げるために精進しております。
今後は、愛媛県のものづくりの現場を一丸となって盛り上げることで、愛媛の伝統工芸の発展に貢献していきたいと思います。

第2回三井ゴールデン匠賞

中川 政七

株式会社 中川政七商店

経営者/奈良県奈良市

講評

家業である「中川政七商店」の自社ブランド確立と成長のノウハウを体系化し、様々な産地の工芸メーカーのコンサルティング業務を展開。一時的、部分的なメーカー支援ではなく、経営、ブランド構築、製品開発、販路開拓までトータルに支援することで根本的な改善に取り組み、企業の持続的成長へつなげている点が評価された。「日本の工芸を元気にする」というビジョンを掲げ、工芸からはじまる新たな価値の創出に力を注いでいる。

プロフィール

1974年生まれ。
京都大学法学部卒業。
2002年中川政七商店に入社し、2008年十三代社長に就任。2018年会長に就任。
日本初の工芸をベースとしたSPA業態を確立し、業界特化型の経営コンサルティングも手掛ける。
2015年には「ポーター賞」を受賞。著書に『小さな会社の生きる道。』等
http://www.yu-nakagawa.co.jp

取り組み

1716 年(享保元年)に創業し、2016 年で 300 周年を迎えた奈良の麻織物の老舗。
「遊 中川」「中川政七商店」「日本市」などのブランドで、全国に直営店を約50店舗展開し、日本ならではの暮らしの知恵、職人の技や想いが息づく商品を数多く生み出している。
2007 年に「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、業界特化型の経営コンサルティング事業のほか、工芸の地産地消を目指す「日本市プロジェクト」、全国の工芸と産地の魅力を届けるWEBメディア「さんち ~工芸と探訪~」の運営など、活動の幅を多岐に渡り拡大。各地で最も輝く一番星たる企業が産地の未来を描くため集う場として、「日本工芸産地協会」を設立するなど、業界全体の底上げを目指す取り組みもはじめている。

作品紹介

【花ふきん】

奈良の特産品、蚊帳生地でできたふきん。生活様式の変化により、需要の減った生地の吸水・耐久性に着目して製品化。大判・薄手のため、畳んで使うと水をよく吸い、広げれば乾きやすく清潔に保つことが可能。食器拭き以外にも、暮らしの様々な局面で活躍する。

受賞者コメント

私は16年前に家業を継ぎましたが、職人でもデザイナーでもない自分が経営者としてやれることは何かということを考えてきました。自社をなんとか立て直し、そこで得たノウハウが外でも役に立つのではないかと考え、工芸分野の経営コンサルティングを行うようになりました。
今後も、日本の工芸を元気にするというビジョンを掲げ、100年後に日本が工芸大国と呼ばれるよう、頑張ってまいります。

第2回三井ゴールデン匠賞

山本 篤

株式会社 妙泉陶房

九谷焼/石川県加賀市

講評

九谷焼の伝統工芸士。気品に満ちた作風は若手の信望も厚く、異業種とのコラボレーションでも脚光を浴びている。その技術を継承するべく40年前の独立時より弟子をとり、職人を多数育成。さらに、若手作家を対象に自工房で研修を行うなど、後継者育成に力を注いでいる。また、県の工業試験場と磁器坏土(はいど)を共同開発するなど、原材料の確保や道具、機器の改良にも尽力。こうした九谷焼の発展を支える地道で幅広い活動が評価された。

プロフィール

1956年、石川県出身。
1975年に独立し妙泉陶房開窯。
1990年以降、宮内庁からの依頼により、天皇家および皇族の御紋入器や饗宴の儀に使用される器の制作を継続して行っている。
現・九谷焼伝統工芸士会会長。平成29年度全国伝統的工芸品公募展・内閣総理大臣賞受賞。

取り組み

ロクロ成形での大皿、型打ち技法による食器などを手がけ、造形美にあふれる作品を制作。
日本有数の磁器坏土を石川県工業試験場と共同開発し、現在多数の窯元が使用している。
伝統的技術に現代の化学分析技術を取り入れ、次世代にデータを残すことに尽力。
原材料、道具、機器の改良により、伝統的技術と新しい技術の複合的製品を制作している。
また、従来和食で使われることが多かった九谷焼を、大きさや型、強度、重さを工夫することでフレンチやイタリアン等でも使えるようにした。
輪島塗、山中塗、金工等とのコラボレーションにより新規顧客を開拓。長年に渡り多数の職人を育成、百貨店やギャラリーでのグループ展を通して若手作家を支援しつつ、積極的に九谷焼の魅力を発信している。

作品紹介

【黄磁釉 花器(菊)】

堂々としていながら優美なライン。独自に調合した天然釉薬を重ね掛けした透明感のある色調、菊の花の陰陽彫刻で季節感を表現した逸品。

受賞者コメント

この度は、大変な賞を頂きましてありがとうございます。
これまで作品で受賞したことはありますが、今回のように取り組みが評価されたのは初めてです。九谷焼は、がんばっている方々がたくさんいます。そして、みんなが協力しあっていてそれが原動力となっています。これからもいろんな人とつながっていき、若い人とも一緒に勉強していきたいと思います。