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第2回「三井ゴールデン匠賞」ファイナリスト一覧(敬称略)
[中部・西日本地区]

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

大下 香征(正之)

漆工芸大下香仙工房

山中漆器/石川県

取り組み

120年以上にわたって継承されてきた山中漆器蒔絵工房の一員として装身具を中心に制作。ブランドディレクションも自ら行うことで、作品の制作だけでなく伝統技術と現代の人を繫げる場や情報を新しく作っている。近年では蒔絵で装身具を制作するワークショップを行うなど、ファンコミュニティーの取り組みも手がける。

作品紹介

【Ala gold series/イヤリングなど】

神話、古代遺跡などからのインスピレーションによる甲州水晶とのコラボ商品。

【SHI U series/ピアス】

糸のように細い雨の情景を、棒状にカットした白蝶貝を用いて、切金や螺鈿で表現した作品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

株式会社 錦山窯

代表:吉田 幸央

※団体として応募

九谷焼/石川県

取り組み

色絵金彩の伝統技法を進化させて、レーザーカッターを利用するなど新しい機器を導入することで、手わざでは不可能な繊細緻密な作品を制作。美術工芸品が暮らしの中に取り入れられるようにと、柔軟な商品開発を行っている。また、小松九谷工業組合理事長として、若手後継者達が自ら伝統産業の未来像を考え、実現していくためのプラットフォームを立ち上げ、さまざまな課題に取り組んでいる。

作品紹介

【華鳥夢譚】

個々のアイテムを積み上げることによってアートピースのように鑑賞でき、またそれぞれをばらして器として食材を盛ることもできるインテリア商材。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

高岡 美奈

箔座株式会社

金沢箔/石川県

取り組み

国宝や重要文化財などの修復に欠かせない金沢伝統箔「縁付」の技を守る一方、従来の箔業界にはなかった発想で純金と純プラチナを合金した「純金プラチナ箔」を開発し、付加価値の高い商品作りを推進、金沢箔全体の需要喚起を図っている。東京日本橋の「箔座日本橋」を旗艦店として、幅広いカテゴリーで金沢箔の魅力を発信している。

作品紹介

【アクリルバングル】

「純金プラチナ箔」をアクリルの基材に施し、箔の魅力を最大限に活かして作り上げたアクセサリー。

【美容金箔マスク プラチナ金箔・コラーゲン仕立て】

美容成分としても評価の高い純金とプラチナを合金し、金箔を打ち延ばす和紙にコラーゲンを配合して製箔。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

針谷 崇之

株式会社 うるしアートはりや

山中漆器/石川県

取り組み

山中漆器の蒔絵職人。茶道具や根付を得意とする両親のもとで、研鑽をつみ、若い感性で独自の商品ラインを開発し、世界へ羽ばたこうとしている。精密で繊細な蒔絵技法を活かした若い女性向けの小振りなアクセサリーも手がけ、これからも生き残っていくには、若い世代にこそ良さを伝えていくことが重要という考えのもと、身近に感じてもらえる比較的手の届きやすい価格帯を開発している。

作品紹介

【ボタンダウンピアス】

蝶貝に蒔絵を施した男性用装身具。クールビズにいち早く反応した人気商品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

引持 玉緒

輪島塗 ぬり工房楽

輪島塗/石川県

取り組み

分業制の輪島にあって、下地から上塗まで一貫制作できる職人工房の強みを最大限に見える化し、職人の遊び心で今様に蘇らせた漆文化を次世代につなぐ事業に邁進している。厚く盛ってもひび割れない下地技法「練乾漆」や、経年で苔生していく様なサプライズを楽しむ変わり塗「KOKEMUSU」を発表し、新しい漆の可能性を模索している。

作品紹介

【KOKEMUSU CUP】

練乾漆の下地に、苔生す様な変わり塗を施したカップ。保冷保温効果が高く、軽くて丈夫。海外環境や空調による乾燥に耐性がある。

【urushibo】

金属ヘラ絞り製作所とのコラボレーションによる銅胎漆器のカップ。練乾漆の厚い下地による断熱効果がある。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

杉山 茂靖

有限会社 みやび行燈製作所

駿河竹千筋細工、駿河和染/静岡県

取り組み

駿河竹千筋細工の職人。四角曲げをはじめ、数々の高度な技術を修得し、同業者が出来ないと断る仕事にも果敢に挑戦して、斬新な発想で、「今までにみたことのない」意欲的な商品開発を推進している。また若手職人の会を立ち上げ、技術・情報の共有につとめ、精力的に産地を牽引している。従来の竹千筋細工は安価な反面、塗装が剥げるなど経年劣化を免れなかったが、漆加工により、長く使い込める味わいある商品へとグレードアップさせた。

作品紹介

【あわじ菓子器一壇】

蓋、蓋の合口、その台座、中間のカスミなど全16カ所を、高難度の四角曲げの技法を用いて、勘だけで仕上げた作品。精密な編組と伸びやかな手のバランスが優美な渾身の作品である。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

岩原 裕右

未空うるし工芸

木曽漆器/長野県

取り組み

木曽漆器職人として、伝統的な技を活かし新しい試みに挑戦。皮革やシルバーなどの異素材に漆塗りを施し『かつてない漆塗り製品』をテーマにオリジナルブランドjaCHRO®を設立した。jaCHRO leather(漆塗りレザー)の開発によりアパレル業界やギターなど異業種とのコラボレーションを地道に進めている。

作品紹介

【jaCHRO coffee sleeve】

jaCHRO leather をコーヒーカップホルダーに仕立て、使う程に艶を増す漆の経年変化を味わえるアイデアに富んだ新商品。

【漆塗りマグネット】

漆を身近に感じてもらうためにチョコレートをイメージし、漆塗りの様々な技法を表現。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

戸田 鉄人

有限会社 渋草柳造窯、四二九三®

渋草焼/岐阜県

取り組み

天保以来の渋草焼の伝統を受け継ぎながらも、現代のニーズに応じたものづくりを目指して、積極的にさまざまな業種とのコラボレーションを行っている。吸水性のある釉薬Re-kidの開発を機に、アロマオイルとセットして商品化を果たし、装身具として身につけたり、プレートタイプのディフューザーにしたりと用途を広げた。

作品紹介

【アロマプレート スクエア】

防虫アロマ専用のディフューザー。現代の空間において「過度な主張をせず、邪魔にならず、でもいい仕事をし時々アクセントになる名脇役」という工芸品がコンセプト。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

伊勢形紙協同組合

代表:林 庸生

※団体として応募

伊勢形紙/三重県

取り組み

伝統的工芸用具「伊勢形紙」の協同組合として、需要促進、後継者の育成、原材料の確保、一般消費者への啓蒙活動を行っている。小紋や型友禅などの染色用の型紙として用いられる工芸用具であるが、染色産業の低迷や、印刷技術の目覚ましい発達などにおされて本来の用具としての需要は激減している。しかしながら1000有余年にわたって蓄積されてきた無尽蔵ともいえる文様の完成度は、世界に冠たるものがあり、型紙を利用したさまざまな新商品開発や異業種とのコラボレーションが試みられている。

作品紹介

【型紙灯り「ザ・コンランショップ」ペンダントライト】

文様に光を通して型紙を見やすくするとともに、灯りとして、また、調度品として開発されたコンランショップとのコラボ商品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

伊藤 忠

有限会社 進誠堂

鈴鹿墨/三重県

取り組み

書道用墨に加え、絵手紙用に色墨を開発。また固形の墨を磨ってボトルにつめた磨墨液の商品化に成功、利便性に加え、従来の墨汁では得られない味わいをアピールして需要開拓をはかった。近年は、より生活に密着して、「衣食住」というコンセプトで新製品開発を進め、シルク印刷用のインク、食用の煤、建築塗料への応用などへと用途が広がっている。

作品紹介

【雪月風花8色セット】

墨は黒という固定観念から脱して、カラフルな8色の墨を考案。その人気は入門者や外国人にとどまらず、書家の創作活動の幅を広げ、豊かな表現を可能にするなどと支持を得ている。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

清水 醉月

醉月陶苑

四日市萬古焼/三重県

取り組み

四日市萬古焼の伝統工芸士。ロクロ手挽き成形で紫泥急須を制作する伝統技法を継承するかたわら、焼成後にサンドブラストにより削り紋様を施す独自の加飾技法を完成、その独特の陰影や金彩を施した渋い味わいは、海外でも人気を博している。

作品紹介

【萬古焼盛絵酒盃】

紫泥焼き締めの素地に松竹梅などを盛絵で表現。伊勢志摩サミットの乾杯に使用された杯。

【萬古縞文うつわ揃い】

サンドブラストによる絶妙なコントラストは紫泥ならではの表現。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

楠 泰彦

クスカ株式会社

丹後ちりめん/京都府

取り組み

「昔の織り技法で今のライフスタイル」をコンセプトに、地場産業である丹後ちりめん300年の伝統技術を進化させて、職人の手仕事によるものづくりを続けている。機械織機を廃棄し、独自開発した手織り機にジャカードシステムを載せて、素材に空気を含ませながら手で織り上げる三次元の立体的な風合いの織物KUSKAを完成、商品化した。

作品紹介

【裂き織りスニーカー】

古い着物布をほどいて染め直し、裂いて横糸にし耐久性を考慮してポリエステル布も混ぜて織り込んだテキスタイルをアッパーにしたスニーカー。

【KUSKA Fresco Tie】

三次元の織物KUSKAを用いた独自の陰影が特徴的なネクタイ。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

田中 善茂

弘誠堂

京表具/京都府

取り組み

従来、絵画や書の裏方と見られがちだった表具師の特性を活かして、「新たな工芸品」創造をめざしている。工芸美術の「演出家」として表舞台に立ち、ブランドを立ち上げ、内外のデザイナーとコラボレーションして現代の生活空間にあう様々な「新表具」を提案し、職域を拡大している。また、修理修復においては、「洗い洗浄技術」を駆使して、本紙の保存に貢献している。

作品紹介

【TENKAI coffee table】

屏風のように折りたためるテーブル。焼銀箔を素材として、贅沢な質感を表現した。フランス人デザイナーとのコラボレーション。

【サンタントアからの手紙】

美濃和紙と本金箔を使用し、蝶番とフレームを改良した新型屏風。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

細川 秀章

竹工房 喜節

京竹工芸/京都府

取り組み

31歳の時に会社員を辞め、竹工芸の技術を学ぶために京都伝統工芸専門学校に入学。卒業後に竹工芸を仕事とする受入れ先が無い現状から自身で工房を開設。竹工芸の仕事を確立するために「これまでにない竹籠バッグ」のデザインを模索し、クラッチバッグやブリーフケースなど和洋男女を問わず持ち歩ける商品を展開している。

作品紹介

【竹ブリーフケース】

A4サイズ、ポケット、書類バサミ内蔵。男性用に開発したが、近年は女性からの注文も増えてる。

【竹クラッチバッグ】

「夏に着物で」という固定観念を廃して、出番を増やしたいと根本的にデザイン・構造を刷新して取り組んだ作品。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

横山 充

京たたみ/京都府

取り組み

畳職人。伝統的畳の継承に加え、現代アートやデザインプロジェクトにおける畳制作を手がける。畳表の新たな利用法を追求した家具を開発し、空間を作る目的だった畳を、テーブルや椅子という「使う」機能を付加した商品に進化させた。海外居住経験を活かして、積極的に海外市場にも進出、イスラエル、アメリカ、アジアで裏千家や高級建築のための畳を制作するなど、国内外で広く活動を展開している。

作品紹介

【黒畳blak】

イグサ、藁、縫い糸を漆黒に染められる職人を探しあて、完成した黒畳。

【畳テーブル、イスシリーズ三】

フランスのデザイナーとのコラボレーションによるミニマル家具。伝統の技が革新的なアイデアの具体化を可能にした。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

日枝 陽一

山口県赤間硯生産協同組合

赤間硯/山口県

取り組み

赤間硯の制作と産地基盤の整備に献身。学術的な研究成果に基づき、洗練された造形の硯制作はもとより、赤間石の化学的な材料特性を活かした新商品開発を推進している。また、僅かな原石を分け合う現状の中、貴重な原石を無駄なく使いきるため、端材を活用して食卓小物を開発した。

作品紹介

【楕円硯】

2017年度山口伝統工芸展の受賞作。「正円の墨堂を巡るように彫り込まれた墨池という構造を楕円のアウトラインに収めた造形。稜線と沈線、輪郭線が織りなす円弧の広がりが見どころ。石肌も美しい」という講評を得た。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

石川 慶蔵

佐賀ダンボール商会

有田焼/佐賀県

取り組み

高い技術力を誇りながらも、久しく低迷が続いていた有田焼を世界市場に押し上げて町を元気にしたいと、衆知を結集。異業種とのコラボレーションでオンリーワンの新商品作りに取り組んでいる(佐賀県ベンチャー交流ネットワーク106社の会長)。

作品紹介

【万華鏡】

有田の名窯源右衛門と世界的万華鏡作家中里保子によるアート万華鏡は世界の富裕層に人気。

【腕時計文字盤】

スイス時計の名工と組んだ文字盤は5年の歳月をかけ、薄さと強度を獲得、世界最大の時計宝飾展バーゼルワールドにおいて、「究極の文字盤」との評価を得た。

第2回三井ゴールデン匠賞
ファイナリスト

市川 浩二

有限会社 市川光山窯

伊万里・有田焼/佐賀県

取り組み

江戸時代、門外不出とされた鍋島藩窯の流れをくむ市川光山窯の後継者として、色鍋島・鍋島青磁を継承。ろくろ成形、下絵付、上絵付と分業生産される業界で、3部門の伝統工芸士の称号を獲得、それぞれ一級技能士の資格も授与されている一徹な職人である。呉須の研究など技術の研鑚を続け、磁器の最高峰とされる鍋島焼継承のために、後継者育成に尽力している。

作品紹介

【色鍋島松竹梅尺高台鉢】

色鍋島の伝統的な意匠をふまえつつ、西洋画の技術を取り入れ、動きのある構図を構成している。